昔のお母さんがよく使っていた、おんぶ紐(=抱っこ紐)です。こんな風に前でクロスしたり、胸の上で結んだりしていました。
私の記憶では、前でクロスが多かったように思います。もちろん、今でもおんぶ紐(=抱っこ紐)を使っているお母さんもいる
でしょうけど、最近では、オシャレなスリングを使っているお母さんをよく見かけます。
スリングは、幅広の布をたすき掛けにして、赤ちゃんを包みこむことから「第2の子宮」とも呼ばれていて、赤ちゃんはお母さん
のお腹にいた時と同じような姿勢をキープすることが出来て、抱き心地も良く、近年その人気が高まっているようです。
実はこのおんぶ紐(=抱っこ紐)もスリングも、測地線を考慮した構造になっているのです。測地線(そくちせん、geodesics)とは、簡単に言うと、直線の概念を曲がった空間において一般化したもので、曲面上の二点を最短距離で結ぶ曲線として定義
されています。(Wikipediaより)
それを考慮することで、着装のくずれ防止、動作のしやすさを見出すことが出来ると言われています。まさに、昔のおんぶ紐
(=抱っこ紐)などは、おばあちゃんの知恵のような感覚で、無意識に考えだされた賜物なのです。
実際に測地線を、ボディ上に求めて見ました。衣服製作を考慮して、あえてB.P(バスト・ポイント)は外しています。
しかし、理論上はB.P(バスト・ポイント)を通る線も可能です。見本は有りものを使った為、2.5㎝幅の接着テープを
貼っていますが、実際は1.0㎝幅くらいがベストです。
測地線は、ボディ上のどこかに1点を定め、そこからその曲面に沿って、曲面の成り行きに任せ、はわせることに
よって得られます。テープがねじれたり、よれたりしないことが鉄則です。そうすることで方向は自然と定まります。
一例として、先に述べたおんぶ紐(抱っこ紐)もそうですが、ワンショルダータイプのドレスやトップスなどのストラップ
位置やその方向を決める際に役立つと思われます。