「表以上に裏が大切。本当の贅沢は裏にある。」これは、シャネルの言葉。シャネルは、30歳の
ときに出逢ったロシアのドミトリー大公から、多くの創作のインスピレーションを得たと言う。ロシア的なものに強く
魅了され、コートの裏地に毛皮を使ったモードは、世界中に大流行する。また、ドレスやスーツの裏地にも、贅沢
過ぎるほどの布地を使い、洋服の裏側に細やかな神経を注いだ。(文中より引用)
現代はというと、庶民のジャケットやコートの裏地は、ポリエステルが殆どで、ちょっと良いものだと、キュプラの
裏地が付いているというくらい。私が持っているシルクのジャケットの裏地はポリエステルだった。この場合、
普通キュプラにすると思うけど、コスト的に無理だったのかな…??シルクとポリエステルは、一見似ているように
見えるけど、全然違う。たかが裏地、されど裏地。シルク×ポリエステルの組み合わせはないわ。。
学生の頃、授業でジャケットの内ポケットにリクラック、コートの裾裏にルーシングを付ける方法を習った。かなり
面倒くさい作業で、それは単なる装飾、付加価値の一種だったが、今から思うと、昔はかなり贅沢な施しをして
いたものだと感心する。
カジュアルなジャケットやコートが定着して随分と経ち、裏なしはバインダー始末かロック始末。裏付きはどんでん
始末で、安いポリエステル裏地。シャネルの時代に比べたら、味も素っ気もなくなった。ファストファッションの台頭で
ファッションのカジュアル化が加速し、消費動向も変化した。それは、当然の成り行きなのかもしれない。
今どきの学生に、どこで服を買うかと聞いたところ、『GU!』と、即座に答えてくれた。安くてかわいいからという理由で。
確実に、時代は変化している。私の時代は、デザイナーの名前で買っていたけどなぁ。。
シャネル
表地:ツイード 裏地:総ラパンファー毛皮